しんぶん赤旗「主張」
新「番号制度」法案
危ない「便利の押し売り」だ
民間利用の前倒し
番号制度は、すべての国民、中長期滞在と特別永住の外国人などに一生同じ11桁以上の「個人番号」を割り振ります。これまで別々の番号で運営されてきた年金、医療、介護などの情報が、個人番号を通じて政府や市町村が管理できるようにする仕組みです。
安倍内閣の番号制度法案は、昨年の国会で廃案になった民主党政権の「マイナンバー法案」をつくり直したものです。昨年の国会で消費税大増税と社会保障「一体改悪」関連法を強行した民主、自民、公明3党は、「マイナンバー法案」の早期成立も密室談合で合意しましたが、国民的な批判が広がるなかで、審議入りすらできませんでした。新しい番号制度法案は、その“復活”です。
安倍内閣が成立を急ぐのは、「一体改悪」路線を推進するうえで、番号制度がなくてはならない仕組みだからです。
「一体改悪」路線は、給付の「適正化」と、制度運営の「効率化」による社会保障費の抑制・削減を推進することを打ち出しています。住民の社会保障の利用状況を行政が簡単に把握できる個人番号によって、国民の給付状況のチェックが可能になります。「一体改悪」関連法の社会保障制度改革推進法が「番号制度の早期導入」を明記したのは、番号制度を社会保障費抑制・削減の道具としてフル活用する狙いにあることは明らかです。
政府が盛んに宣伝する年金申請の手続き改善など「国民の利便性向上」は、番号制度がなくてもできるものです。社会保障費カットのための制度を「国民の社会保障制度などへの申請が便利になる」などと美辞麗句でごまかして導入するのは、悪質な“押し売り”以外のなにものでもありません。
新法案が、「個人番号」の民間企業への利用拡大を検討する期間を、1年前倒ししたことは重大です。「民間での活用」は経団連など財界が強く求めていたものです。社会保障費の抑制・削減にとどまらず、国民の膨大な個人情報を“新たなもうけ”の対象にしたい財界の意向に沿って改変された新法案は、番号制度の危険な本質をますます浮き彫りにしています。
将来に重大な禍根
安倍内閣は法案成立後、2015年10月から、個人番号と氏名・住所・生年月日・性別が一体になったカードを全員に送り、16年に顔写真やICチップも入った「個人番号カード」を本格的に導入する構えです。これだけ大量の情報を1枚のカードにまとめるのは世界でも例がなく情報管理のあり方としても、非常に危険視されている無謀なやり方です。
番号制度は政府・財界の都合であり、国民は望んでいません。将来に重大な禍根を残す制度の導入はやめるべきです。
13年03月20日|しんぶん赤旗.
森本ふみお コメント: コメント募集中