東日本大震災2カ月 被災者の苦闘支える対策こそ
しんぶん赤旗日刊紙5月11日付の「主張」を紹介いたします。詳しくは、しんぶん赤旗をご覧ください。
東北地方にも遅い春が訪れています。例年なら田植えの真っ盛りですが、今年は様子が違います。農家も農機具も地震と津波で壊され、海沿いの田畑は海水につかって耕作のめどが立ちません。東京電力福島第1原発の周辺では、避難を強いられ、作付けも規制された、無人の耕地が広がります。
東日本大震災から2カ月。未曽有の震災に立ち向かい、復旧・復興をめざす被災者の取り組みがようやく始まっています。そうした中、政府の支援や対策が、被災者の苦闘を支え、応えているかが、きびしく問われています。
山積する被災者の要望
亡くなった人と行方不明者が2万5000人近く、住宅も商店も工場も、農地や漁港、漁船も根こそぎ破壊された、被災地の現状は依然、深刻です。暖かくなってきたとはいえ、きびしい避難生活の中で体調を壊し、「震災関連死」も相次いでいます。事態収束のめどが立たない福島原発周辺では、これまでの「警戒区域」に加え、「計画的避難区域」からの住民避難も行われようとしています。
まず10万人以上が暮らす避難所の生活を緊急に改善すること、やむを得ず被災した自宅に戻った人にも救援の手を差し伸べること、全国から寄せられた義援金や公的な支援金、原発被害の賠償金などを届けること、生活再建の土台となる仮設住宅を急いで建設することなど、被災者の要望は山積しています。生活と地域の再建には、陸にも海にも膨大に残るがれきを国の責任で撤去することや農業や漁業、地場産業のための基盤を再建し、被災者に収入と働く場を保障すること、被災者の声を踏まえた町づくりの計画を国が全面的に支援することなども必要です。
先週末から岩手、宮城、福島の各県を訪問した日本共産党の志位和夫委員長は、各地で被災者からの要望を受け、被災者が再出発できるよう、国の支援の重要性を強調しました。被災に耐え立ち上がりつつある被災者の願いに政府が積極的に応えてこそ、復旧・復興を早めることができます。
多くの被災者が住宅ローンや営業・営農の借り入れを抱え、「せめてゼロからスタートさせてほしい」と願っています。被災者が「二重ローン」に苦しまなくてすむように、せめて債務を凍結し、公的な買い上げ機関を立ち上げるなどの対策が必要です。
津波につかり、耕作できなくなった農地を再生し、漁船や漁港を再建するには、農地を一時的に国が買い上げ、再生したうえで元の持ち主に戻す仕組みづくりや、小型船の買い入れや養殖場の復旧などは国が100%負担するなどの対策が必要です。未曽有の大震災に対応した、これまでにない対策が求められています。
抜本的な2次補正を
政府が仮設住宅の建設やがれきの処理のために提出した第1次補正予算は成立しました。しかし、今後の被災者支援や地域の復興のためにはそれだけでは不十分です。住宅が全壊した被災者への支援も、1次補正だけではすぐ底をつきます。しかも、1世帯300万円の支援は少なすぎます。
財源を理由に2次補正を遅らせるなどというのは論外です。上からの「復興」の押し付けではなく、被災者の願いにこたえる対策をこそ、政府は急ぐべきです。
11年05月11日|日記帳.
森本ふみお コメント: コメント募集中